自己を見つめるとは|自己評価とは<心理学>



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自己評価と他者からの評価

世の中には、人から羨ましがられるほどの社会的地位や財産・能力を持ち合わせている人がいます。みなさんもそういう人を見て「いいなあ」「私もああだったら、幸せだろうなあ」と思ったことがあるかもしれませんね。

しかし、本当のところはどうでしょうか。

ある一流企業の課長が神経科のクリニックを訪れました。この人は、同期の中でも一番のスピード出生をして、社内の評価も高い人です。その上、代々受け継いだ資産も豊かで、端から見ればそれこそ羨むばかりに人生のように見えます。

しかし、前々からあった不安感・焦燥感と抑うつ感が最近になって特に強くなったというのです。その内容は「今の生活に不満があるわけではないのだが、与えられたことをこなしてきただけで自分の能力で得たものではない。自分としてはもっとやるべきことがあるのではないかと思うが何をして良いのかわからない。こんな自分が情けないと思う。いつも人の目を気にしてビクビクしている」といったものでした。

つまり、周りからは高い評価を得ていても、自分自身の中での評価は逆になってしまっていたのです。この事例の課長さんは、知らず識らずに周囲から与えられる評価にあった自分でなければならないと思い込み、そのイメージと合わない実際の自分と比較して「自分が情けない」と感じてしまっていました。彼は半年以上に渡るカウンセリングでその事に気づき、立ち直っていきましたが、大変苦しんだようでした。

こういった事例がある一方で、客観的には無題に見えたり非合理的に見える行動に対しても、積極的に取り組んでいる人々も少なくありません。彼らは、合理性よりもその行動することに、またその行動をする自分自身に価値を見出しているのでしょう。外から見ると一見大変そうに見えても、実に生き生きとして充実した様子が伺われます。

このように、私達にとっては自分自身に対する評価が非常に重要な意味を持っていることがわかります。私は地は、常に自分自身との関係を切り離して忘れてしまうことはできませんし、何らかの形で自分に対して価値を見いださないで安定して生活してくこともできません。では、この自分自身に対する評価について、どのように捉えていったらよいのでしょうか。

自己評価とは

自分に対する自身の評価を自己評価といいます。

自己評価は発達的にはかなり早期からの生活経験のなかで徐々に形づくられてきたものと考えられますが、特に母子関係を出発点とした対人関係や社会体験の影響を深く受けています。そして、どのような自己評価をもつかによって、社会生活の様相が違ってくるといえるでしょう。

梶田(1988)は,自己評価の特性を次の4つの側面に分けています。

  1. さまざまな自己評価的感覚や、意識・態度をもっとも基底において支えている基盤的な感情や感覚(自尊心、誇り、自己愛、など)。
  2. 自分の周囲にいる人や自分の内面で想定した人と、暗黙のうちに比較対照することで成立した自己評価的感覚や意識(優越感、劣等感、など)。
  3. 自分自身についての要求水準や、理想的自己のイメージに照らして自分の現状を見ることで、成立した自己評価的感覚や意識(自己受容や自己満足、自己不信や自己への絶望、など)。
  4. 自己評価的な感覚や意識の外的な現れとしての態度や、行動特性(積極性、自立性、自由奔放、また、消極性、引っ込み思案、依頼心、など)。

そして、同じように「自信がある」という場合でも、これらのうちどの感覚を中核にしたものであるかによって、心理的な意味が違ってくるとしています。同じような自己評価でも、その自己評価がどのような基盤から形成されたものかによって、質が違ってくるというのです。

つまり、自己評価は、単に「高いから良い」「低いから悪い」というだけのものではありません。その自己評価がどのような質のものかによって、私たちにとっての意味が違ってきます。

自己評価の高さと質

自己評価 客観的で他者からの評価と一致 主観的で他者からの評価と不一致
高い 自信に満ちて,安定している。

他者に対しても肯定的・親和的。

過大評価。非現実的な万能感。

願望的で自己愛にしがみつく。

他者に対して否定的。

低い 自信はないが,建設的方向につながりやすい。

他者に対して,肯定的。

過小評価。欠点にとらわれる。

自虐的。対人恐怖的。

嫉みなどをもちやすい。

 

このように、客観的にいろいろな情報をもとに形成された自己評価は,他者からの評価と一致しやすく、仮に低くても、自分の欠点をも含んでの自己受容へとつながる可能性をもち、適応的に作用しますが、反対に高くても、自己の閉鎖した世界で気づきあげられた自己評価は、不適応的に作用してしまいます。

そしてこの点に関しては、幼い頃から両親や周囲の人から受容されて成長し、自分自身に対する安心感を得ることができたか、受容されることなく成長したために、基盤になる安心感を築けず、内閉的にならざるを得なかったかが深く影響すると考えられます。

こういった観点以外に、自己評価を、他者との関係が問題となる領域と、自分自身のあり方や能力などが問題になる領域とに分けてとらえることもできます。

この観点は,自分の自己評価のあり方を考えるときに、参考になると思います。