他者と関わるということについて



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現代の対人関係

現代の対人関係を考えると、子どもではいじめの問題、大人になると職場で人づきあいがうまくできないといった問題や、子育てできない母親など、出てくるのは困ったことばかりです。

では、なぜ現代は対人関係が希薄化し、人づきあいが難しくなってきたのでしょうか。吉森(1991)は、それについて次のような要因をあげています。

  1. 家族・家庭の変容:核家族化により人間相互の接触の絶対量が減少し、子どもたちの人間関係のスキルを未熟にしている。
  2. 地域社会の変容と過疎・過密:従来の地域共同体が解体され、孤立化している。
  3. 機能社会化と組織の巨大化:組織は人々を歯車化し、疎外している。
  4. 機械化と省力化:生産の場で機械が人間にとって代わり、人々は冷ややかな機械一人間関係で働くようになっている。
  5. 情報の増大と活動範囲の拡大:情報量の増大によりパーソナルなコミュニケーションの役割が縮小し、活動範囲の拡大により人間関係は刹那的・表面的・部分的になった。
  6. 競争の激化:競争を原理とする資本主義は、他者への不信・自己中心主義を醸成する。
  7. 人間関係のルールの変容:伝統的な儒教による人間関係のルールが後退し、それに代わる新たなルールが確立されないまま人間関係が大きく変化している。

対人間の距離

ホール(Hall,E.T。1966)は,対人間の心理的距離に対応する物理的距離を、以下のような4段階と8つの相に分けています。

つまり2人の物理的距離を見れば心理的な距離もわかるというわけです。

  1. 密接距離(intimatedistance):ごく親密な関係の距離。
    ①近接相(O~15cm):愛撫・保護などの距離で、主として皮膚接触によるコミュニケーションがなされる。
    ②遠方相(15~45cm):手を握るなどの距離。
  2. 個体距離(personaldistance):対話や会話の距離で,個人的な親しい関係。
    ③近接相(45~75cm):相手を抱いたり、つかまえたりできる距離。
    ④遠方相(75~120cm):個人的な用件の会話や路上での立ち話の距離。
  3. 社会距離(social distance):会議・討議・ビジネスのための距離。
    ⑤近接相(120~210cm):個人的でない用件を話すときの距離。
    ⑥遠方相(210~360cm):形式ばった社交やビジネスのための距離。この距離では隔絶され、別々のことをしてもかまわない。
  4. 公衆距離(publicdistance):講義・講演などの距離で、相手に個人を意識させない距離。
    ⑦近接相(360~750cm):聴衆はもはや話し手に関与することが少ない。一方的なコミュニケーションになる。
    ⑧遠方相(750cm~):街頭演説など,声は増幅され、テンポをゆっくりし、身振りを入れるなどして話さないと伝わらない。
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対人関係のレベル

対人関係の成立は、最初は相手の存在に気づくことから始まります。

そして最終的には恋人同士のような、親密な関係に発展する場合から、表面的な関係にとどまる場合などレベルはさまざまです。

レヴインガーら(Levinger,G.et al。1972)は対人関係のレベルを大きく3段階に分けています。

  1. 気づきの段階:一方的な態度または印象で、相互作用はない。
  2. 表面的接触の段階:相手も応答し、ある程度情報を共有するが、コミュニケーションは社会的役割に基づく表面的なものが多い。
  3. 相互関係の段階:両者の親密感が増し、相互に強い影響を及ぼすようになる。2人だけの共通のコミュニケーションがみられる。