社会的スキルと対人関係について|どのように関わればよいのか



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人との関わり方<社会的スキル>

学校でのいじめの問題は最近に始まった現象ではありませんが、いじめによる自殺者が出て以来、教育現場では深刻な問題としてその対策が急がれています。

関係者によると最近のいじめは、陰湿化し、長期にわたって集団で徹底的に攻撃するというような形をとることもあるということです。

そこには対人関係における最低限のルールも何もありません。こういった対人関係の問題は、いじめに限ったことではありません。

たとえば子育てをする若い母親のなかには、公園へ行ってもお母さん仲間の輪に入れないとか、一日中外出せずに家のなかで子どもの相手をしている母親も増加しているといわれています。

さらに若い男女においては、晩婚化や未婚率の上昇がいわれています。またサラリーマンの転職も今や珍しいことではなくなってきました。これらの社会現象の背景に多かれ少なかれ、対人関係の問題が潜んでいることは明らかなことと思われます。

幼稚園時代からファミコンを遊び相手として、成長すればパソコン、そして仕事も買物も最近ではインターネットの時代です。いずれ、人とかかわらなくても一生を大過なく終えることのできる時代が到来するのかもしれません。しかし私たちは「人と人との間に生きるJからこそ”人間”として存在しているのです。

もしも人とかかわり合うことなく生きられる時代になったら、筆者はとても寂しい気持ちになりますが、みなさんはいかがですか。

社会的スキルとは

社会的スキル(social skills)とは、研究者により定義はさまざまですが、一言で言えば対人関係を保っていくために有用な行動とされています。

スキルとは「技能」のことですが、一般に「社会的スキル」とそのまま用いられています。

さて社会的スキルの主な特徴ですが、まず第一に学習可能であることがあげられます。すなわち何らかの訓練によって対人行動を改善することは、可能であると考えているということです。さらにもう1つの人きな特徴として、スキルは階層構造をもっているということがあります。

これはたとえば「会話をする」というスキルはあいさつする、今日の天気などのちょっとした話をする(スモール・トーク)、自分の話したい話題をもちだす、などの具体的な行動からでき
ています。このレベルをサブスキルと呼びます。

社会的スキル研究は1970年代から、主にアメリカとイギリスで盛んに行なわれるようになり、我が国でも1980年代から、研究だけでなく実際の社会的スキル訓練が盛んになってきました。

社会的スキル訓練

こういったスキルを身につけるための訓練が社会的スキル訓練(Social Skills Training :SST)と呼ばれるものです。

これにはさまざまな方法があり、たとえばグループによるトレーニング(Tグループやエンカウンター・グループなど)か個人レベルでのトレーニングか、トレーニングのプログラムは構成法か非構成法か、などにより訓練内容も異なってきます。以下に一般的な社会的スキル訓練の手順を紹介しましょう(山本,1996)。

  1. 教示:必要とされるスキルについての情報を伝達する。どのような行動が必要で、どのように実行すればよいかについて理解させる。
  2. モデリング:その行動を実際にモデルが演じたり、ビデオにより提示する。
  3. リハーサル練習:その行動を繰り返し、練習する。
  4. フィードバック:学習している行動が、どれくらいうまく実行できたかについての情報を与える。
  5. 社会的強化:目的とする行動が行なわれた場合や、進歩がみられた場合、賞賛を与える。
〔A〕基本となるスキル 川聞く 21会話を始める 31会話を続ける (質問する 引自己紹介をする 61お礼をいう 71敬意を表わす 81あやまる 91納得させる 1(川終わりのサインを送る
〔B〕感情処理のスキル 1り自分の感情を知る 1川感情の表現をコントロールする 13 1 他人の感情を理解する 1(他人の怒りに対応する 15 1 他人の悲しみに対応する 16 1 愛情や好意を表現する 17 1 喜びを表現する 18 1 思いやりの心をもつ 19 1 おちこみ・意欲の喪失に耐える 20 1恐れや不安に対処する
〔C〕攻撃に代わるスキル 211分け合う 221グチをこぽす 231ユーモアにする 241ファイトを保つ 251和解する 261他人とのトラブルを避ける 271自己主張する 2釧自己統制する 291いじめを処理する 301許可を求める
〔D〕ストレスを処理するスキル 311ストレスに気づく 321不平を言う 331苦情などを処理する341失敗を処理する 351無視されたことを処理する 361危機を処理する 371気分転換する 381自分の価値を高める 391矛盾した情報を処理する 401集団圧力に対応する
〔E〕計画のスキル 411何をするか決める 421問題がどこにあるか決める 431目標を設定する 441自分の能力を知る 45目青報を集める 46卜時報をまとめる 471問題を重要な順に並べる 481決定を下す 491仕事に着手する 501計画を立てる
〔F〕援助のスキル 511相手の変化に気づく 521相手の要求を知る 53」相手の立場に立つ 541まわりをみる 5い同じ気持ちになる 561援助の失敗に対処する 571自分のできることを知る 581気軽にやってみる 591相手によろこんでもらう 601自分の立場を知る
〔G〕異性とっきあうスキル 6川デートの相手を選ぶ 62 1 自分の情熱を相手に伝える 63 1 相手の気持ちを理解する 64 1 デートを上手にこなす 65 1 相手との親しさを増す 66 1 愛することを決意する 67 1 ケンカを上手にこなす 68 1 恋愛関係を維持する 69 1 悪化のサインを読みとる 70卜F生別や人による恋愛の違いを知る
〔II〕年上・年下とつきあうスキル 7川話を合わせる 72 1 相手を立てる 73 1 上手にほめる 74 1 相手を気づかう 75 1 相手の都合に合わせる 76 1 相手のレベルに合わせる77 1 だらだら話につきあう 78 1 バカにされてもつきあう 79げわかった」と言わない 80 1 上手に叱る
〔I〕集団行動のスキル 81」参加する 82 1 集団の意義を見いだす 83 1 仕事に集中する84 j 誰に知らせるか 85 1 規範に従わせる 86 1 指示に従う 87 1 決定する 88 1 会議をする 89 1 グループジンクを防ぐ 90 1 グループ内の葛藤を処理する
〔J〕異文化接触のスキル 9川キー・パーソンを見つける 921メタ・レベルで調整する931「同じ」と「違う」を同時に受け入れる 941異文化を取り込む951文化的拘束に気づく 961意向を伝える・意向がわかる 971判断を保留し先にすすむ 981相手文化での役割行動をとる 991自分の持ち昧を広げる 1001関係を調整する
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自己主張のスキル

アメリカでは、社会的スキル訓練といえば、多くがその中心は自己主張訓練(アサーション・トレーニング)のことです。

日本のように自己主張しなくても、周囲が配慮してくれるといった文化とは異なり、やはりアメリカでは自己主張のスキルがなければ、対人関係の維持が難しいのでしょう。しかし日本においても、積極的な対人関係のためには、相手と意見が異なるときに、それがはっきり言えたり、理不尽な要求には「ノー」と言えるスキルは大切なことといえます。

具体的な自己主張の方法について、アサーション・デスク(DESC)という方法を紹介しましょう。

例:「同室の人が煙草を吸っている、私は煙草の煙が嫌いで困っている」

  1. D:まず最初に、自分か対応しようとする状況の客観的描写、具体的描写(Describe)をします。例:部屋に煙草の煙が充満している。
  2. E:次に、状況や行動に対する自分の気持ちを説明(Explain)します。例:相手は煙草が相当好きなんだろうが、私は頭が痛くなってきた。
  3. S:そして、共体的で現実的な解決策を提案(Specify)します。例:「煙草をしばらくやめていただけませんか」と言う。
  4. C:最後に、提案に対する肯定的あるいは、否定的な結果を予測し、選択(Choose)します。例:Yesの場合→「ありがとう」と言う。Noの場合→「窓を開けていいですか」と言う。この方法は実際行なわなくても、頭のなかで考えてみるだけでも効果があります。みなさんも身近な例で試してみてください。