青年期の特徴|現代における青年の課題とは?



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青年期とは

青年期は、身体的・生理的には、第二次性徴を中心とした質的な変化が訪れるとともに、身体もほぼ成人と同じになり、運動能力もそれまでの児童期とは比べものにならないほどの成長
を遂げる時期です。

このように身体的・生理的に大きく変化する時期ですが、心理的にもこの特有の特徴を示します。そして、その心理的特徴は、社会環境などの変化と深く関連して現われてきます。

ブロス(Blos,P。1967)は、この時期を第二の分離ー固体化の時期と呼んでいます。分離一個体化とは、マーラー(Mahler.M.S.stal。1975)の乳幼児期の発達理論で用いられる言葉で、養育者と一体化していた子どもが、一人の個体として存在するようになる過程を示します。ブロスは、この乳幼児期の分離一個体化の過程になぞらえて、今度は親との関係が中心である家庭から分離して、一人の社会人として個体化する過程としてこう呼んだのです。

言い換えれば、青年期は、人が社会人として個体化し、成人期に入って家庭を作り、次の世代を教育して紡いでいくための、重要な準備期問ということもできます。そして、それまでの発達のなかのさまざまな課題を、どのように通過してきたのかという問題があらわになる時期であるととらえられます。

したがって、多くの病理現象もこの時期に現われることになります。

青年期の課題<ライフイベントの視点から>

青年期の課題を,その生活上の変化を中心に見てみましょう。

1.進学などの進路の決定

小学校から中学校へ、そして高校・大学へと学校環境も変化していきます。就職をする場合もあるでしょう。

こういった変化にあたって、その都度進路の決定をしなければなりません。そのためには、自分の能力や適性を客観的にとらえることが求められます。

2.仲間関係の変化

社会のなかの一人として成立するために、両親との関係から、同年代の仲間関係へとその重点が移行していきます。もちろん、それ以前にも友人関係はさまざまなものをもたらしてくれますが、この時期にさしかかると、それまであまり意識していなかった相手への理解が高まってきます。

児童期までの仲間関係では、相手との共通部分が重要な要素となって成立していますが、青年期においては、相手の人格や特性を理解するようになり、相手からも同じように理解してほしいという願望をもつようになります。この理解は、自分と相手との違いを明確にすることにもなり、そのことを通して自分自身の理解も進むことになります。

また、同じような状況に立っている仲間との間で自分を表現し、受け入れられる体験をすることも重要な課題です。誰にでも自分の内面を見せるのではなく、信頼できる相手に対してのみ自己を開示することは、年齢があがるにっれて複雑化する対人関係に適切に対処していく、土台を作ることになります。

3.異性とのかかわり

青年期は第二次性徴を迎え、それぞれの性(ジェンダー)役割を意識するようになります。

男性であること、女性であることを受け入れて、社会のなかでの適応的な態度を形成することが求められるわけです。その際に、同性の仲間やモデルを得ることも大切ですが、異性とのか
かわりを通して、自己の性役割のイメージを形成してジェンダー・アイデンティティを獲得していく過程も重要なものといえるでしょう。

4.社会からの要請

児童から青年になるにつれて、社会からもその段階相応の行動が期待されます。それまで保護者が判断して指示をしてきた行動も、自ら行なうことが求められるようになります。この課題が円滑にこなせていたり、こなせるような感覚がもてると、安定した自己肯定感を得ることができます。

しかし、そのことに失敗したり、自信がもてなかったりすると、自己イメージも否定的な色彩を帯びることになります。

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現代社会と青年について

宮下(2004)は、青年期の病理的状態について「アイデンティティの拡散」として、表のようにまとめています。これらの病理的状態と関連する現代社会の特徴をあげてみます。

1.価値観の混乱

現代は、経済構造や情報システムの飛躍的な変化が見られます。そのために、今までの価値観とは異なる多様化した価値観が提起されています。それは、一見自由で柔軟な印象がありますが、「こうすればこうなるだろう」といった確信を混乱させている側面があります。

そのなかで、青年は時間的展望を失い、アイデンティティがとらえにくくなっているといえるでしょう。

a)時間的展望の拡散 自己の将来に対して明るい見通しや展望が見いだせない。刹那的・無為になる。
b)アイデンティティ意識(自意識過剰) 自分に対して自信が持てず,他者の目を非常に気にする心理状態。他者の視線の中でうろたえている状態。
C)否定的アイデンティティ 社会的に忌み嫌われている価値に積極的にコミットし,その中に自己を見いだそうとする心理状態。非行・犯罪などの社会での「悪」に自己のよりどころを見いだそうとする状態。
d)労働麻庫(勤勉性の拡散) 勉強や仕事,生活に対する意欲が失われ,無力感にとらわれている状態。打ち込むものを見失い,うつろな気分で身動きが取れずにいる心理状態。
e)両性的拡散 自分が「男であること」「女であること」への自信や確信に欠け,親密な対人関係を持てなくなっている状態。対人関係を避けて孤立したり,相手にのみ込まれて自己を見失ってしまう。
f)権威の拡散 対人関係で適切な主従の関係がとれなくなっている状態。役割に応じて人をリードしたり,従ったりできない状態。
g)理想の拡散 自己の人生のよりどころとなる理想や信念,人生観などが失われている状態。人生のよりどころや目標が失われ,生き生きとした人生が歩めないでいる。

 

2.幼児期からの対人関係の変容

少子化や情報の多量化などさまざまな要因から、親の世代も変化して、子どもに対して「失敗のないように」配慮する子育てが中心になってきているようです。

そのために、青年が主体的に自己の可能性を探るといった試行錯誤的活動が奪われ、結果的に対人関係での衝動のコントロールや、欲求不満に耐える力が得られなくなっています。このことは、何かを得るためそれなりの手続きを行なうことや、一定の時問を待つことができずに、0か100かといった図式でしか考えられない状態に関与しています。

0か100かという緊張感は、青年の不安を高め、その緊張を回避するためにコミットすることを避け、勤勉性や理想を拡散させていく要因になっていると考えられます。