類型論とは何か?2|古代ギリシア・ローマ時代の類型論



Sponsored Links

古代ギリシア・ローマ時代の類型論

『人さまざま』

古代ギリシア時代は、多くの学問や文化、芸術が花開いた時代でした。そして、そこでは、人間の観察記録とも言うべきものも残されています。

紀元前4世紀頃、アリストテレスの弟子で哲学者・植物学者のテオフラストス(Theophrastus紀元前371-287)は,、人さまざま』という書物を残しています。この本の英語名はTheCaracter

ですので、人間のバーソなリティ)について体系的に書かれた世界最古のものといえるでしょう。

『人さまざま』では、けち、おしゃべり、へそまがり、お節介、傲慢といった、30の見出しがっけられています。そして、それぞれの冒頭で用語の定義をし、その後で具体的な人物像が描かれていきます。なお、中には、今ではパーソナリティ用語をしてあまり適切とは思わないもの(上の空、迷信など)も含まれていますが、いずれも描かれる人物像は興味深いものばかりです。

たとえば,次の一節は,「へそまがり」な人について書かれたものです(テオプラストス,2003)。

 

へそまがりとは、言葉使いの点で、態度の無礼なことである。そこで、へそまがりの人とは、およそつぎのようなものである。

すなわち、「誰それはどこにいますか?」と人から尋ねられると、「私をそっとしておいてもらいたいですね」と答える。

また、挨拶をされても、挨拶を返さない。

また、ものを売るときは、買手に、自分は手放したいのだが、どれほどの値記述方法は、現在でも人物像を描く多くの書籍でみられるものです。古くから人々は人間の特徴について詳しく観察し、記述してきたのですが、そこには現代の人々と多くの点で重なる部分があると言えるでしょう。

Sponsored Links

四気質の内容

人々は人間の特徴について詳しく観察し、記述してきたのですが、そこには現代の人々と多くの点で重なる部分があると言えるでしょう。

四気質説

テオフラストスが誕生する数年前に亡くなった人物に、古代ギリシアの医者ヒポクラテス(Hippocrates紀元前460-377)がいました。

ヒポクラテスは医学を呪術や迷信と切り離し、現代で言うところの科学的な手法を持ち込もうとしたことから、医学の父とも呼ばれる人物です。

ヒポタラテスは、人間には4種類の体液があり、この4種類の体液の混合に変調が生じた際に、病気が生じるという四体液説を唱えました。

4種類の体液とは、血液、粘液、黒胆汁、黄胆汁というものです。この4つの体液は、ヒポクラテス以前に考えられていた古代ギリシアの四大元素にも対応しており、また四季にも対応していました。「血液」は四大元素のうち「空気」で四季では「春」、「黄胆汁」が四大元素のうち「火」で四季では「夏」、「黒胆汁」が四大
元素のうち「地」で四季では「秋」、「粘液」が四大元素のうち「水」で四季では「冬」に対応するといった具合です。

ヒポクラテスの死後500年あまり経った頃、ペルガモン(現トル)にガレノス(Galen 129-200頃)という人物が誕生しました。ガレノスは生きた動物を解剖・実験するなどして、古代の医学を大きく発展させた人物で、後にp-マでも活躍しました。

また彼は、ヒポクラテスの四体液説から、四気質説とも呼ばれる人間の類型論を発展させました(ガレノス、2005 ; 二宮,1993)。

この四気質説は多血質が楽観的で健康な気質、胆汁質がいらだちやすい気質、黒胆汁(憂うつ)質が抑うつ的で落ち込みやすい気質、粘液質が静かで無関心な気質として描かれています。

そもそも、気質という日本語の元になったtemperrament”には「体液の混合」という語源があります。この言葉は四気質説から来ていますので、体質や遺伝といった、生物学的なニュアソスが含まれています。しかしながら、ここの小さな喜びや悩みには多血質で、人生の重大事件のような場合には黒胆汁(憂うっ)質で、興味を抱く対象には胆汁質で、決心を遂行するようなときには粘液質で対応すべきだということです。

さらに、イギリスで知能やパーソナリティ、行動療法の研究を精力的に行った心理学者アイゼンク(Eysenck,H.J.1916-1997)も、ガレノスの四気質を想定しながらパーソナリティ構造を考えています。

このように、ヒポクラテスから始まりガレノスを経て完成された四気質説は、じつに2,000年以上にもわたって受け継がれてきた、きわめて息の長い説だとであり、遺伝されたものに経験が加わったものとしています。さらに「体質」を、個人のさまざまな特性の総和であると考えています(Kretschmer,1921斎藤訳、944)。