カウンセリングとは何か

 

 

カウンセリングには様々な定義があります。一般的に言えば、カウンセリングとは、言語的・非言語的なコミュニケーションを通して、専門的な立場から個人が悩みを解決し、心理的な成長を遂げるように援助をすることでしょう。

人は1人で生きていくことは困難であり、他者と交わり、他者と意見を交換し、お互いに刺激し合い、他者の考えを取り入れることによって成長します。

その意味で、お互いの間に心の対話が成り立つところにカウンセリングは成立します。

 

カウンセリングと心理療法

 

カウンセリングでは何をするのでしょうか。カウンセリングと心理療法は同じなのか違うのでしょうか。

カウンセリングという言葉は知っていても、そこで何をするのか具体的に知っている人は少ないでしょう。

カウンセリングと言っても、学校におけるカウンセリングのあれば、病院や看護の場面でのカウンセリング、少年鑑別所など法務関係でのカウンセリング、企業や官庁などでのカウンセリング、あるいはスポーツ分野のカウンセリングなど、様々な分野におけるカウンセリングがあります。

それぞれの分野によって、カウンセリングの仕方や考え方も違ってきます。

 

一つの考え方として、扱う対象者が合理的であるかどうかによって、カウンセリングなのか心理療法なのかを分けることができます。

心理療法というのは、何らかの病理的な問題に対して、心理治療的な意味での対処を行うことです。

それに対してカウンセリングは、悩んではいるが、合理的とは言えない人の心の成長や発達を援助するものです。

したがって、対象者が病的な状態であるには心理療法を行うことになり、病的でない状態での問題を解決するのがカウンセリングです。

 

ただし、病的であるかどうかの判断は、必ずしも容易ではなく、この区別は絶対的なものではありません。日本では 両者をあまり区別せずに用いているのが実情です。

 

カウンセリングの考え方

 

カウンセリングには、数え方次第では300も400もの理論があると言われています。

しかし、それらの理論はいくつかの大きな流れの中で細分化されたものです。カウンセリングの大きな枠組みとしては3つか4つの考え方があると言えます。

 

第1の考え方は、過去から現在に至る過程を捉えていくものです。精神的アプローチがそれにあたります。

フロイトの精神分析という言葉が一般的によく知られています。人のすることには動機がありますが、自分でも気づいていない動機があると言われると 興味が湧くでしょう。

それは、認識の世界を想定する考え方(深層心理学)であり、その世界は過去の歴史の中で形成されたと考えられています。

 

第2の考え方は、現在の主観的・現像学世界を重視する考え方であり、ロジャースの来談者中心的アプローチがその代表的なものです。

この考え方では、過去はさておき、今悩んでいる人の現在の姿(主観)を直接的に理解しようとします。

人が悩んでいるとどうなるのでしょうか。悩んだり、 追い込まれたりしてると誰でも物の見方が歪んできます。

一つの考え方にこだわったり、一方的な考えに陥ったりします。カウンセラーはそれを否定したり無視したりしませんので、その人の歪んだ世界に入り込み、一緒に考えていこうとします。

 

第3の考え方は、環境の要因と人との関係を中心に考えていくものであり、行動主義・認知行動主義的アプローチがここに入ります。

人が一人でなしうることには限界があります。悩みによっては、自分一人ではどうにもならないことも多いです。

行動主義の考え方では、その人がどのような人間関係の中に置かれているのか、日常的にどのような人とどのような交わりをしているのかを細かく分析します。

そうすれば、その人の行動や 考え方のパターンが何によって支配されているのかが見えてきます。そこから対処の方法を見出して行くのです。

 

第4の考え方は、悩みを持つ人一人だけを問題とはせず、例えば配偶者や家族全体など、複数の人を単位として考える家族療法なども、システム論的アプローチです。

人間関係をいくつかのシステムのレベルで捉えることができますが、最も身近な単位としても家族を考えることができます。

家族の誰かが悩んでいるということは、その家族のすべてが悩んでいるということにもなります。 家族の人間関係は、知らず知らずのうちにある好ましくないパターンにはまっていることがあります。

気づいた時には、そこからなかなか抜け出せないシステム論の考え方は、このような集団全体の総合的影響について見ていこうとするものです。

最近盛んである短期療法の解決志向アプローチは、未来志向的です。

人は近い将来の具体的な目標が定まっていると、その目標に向かって行動を起こそうとする傾向があると言えます。